以下引用
運動部活動に関するガイドライン(指針)を検討するスポーツ庁の有識者会議が23日、東京都内で開かれ、すでに固まっている中学校での活動時間や休養日の基準を高校にも適用することが了承された。会議の結論を踏まえ、同庁は3月に指針をまとめる。
有識者会議は、中学の部活動について、平日は長くとも2時間、休日は3時間程度までとし、休養日を平日1日以上、土日1日以上の週2日以上とする基準を固めている。高校に関しては義務教育でない点を踏まえて議論してきたが、この日の会議で中学の基準を原則適用すると確認した。
会議では、原則をどこまで徹底させるかが委員の間で議論になった。元女子柔道選手の山口香・筑波大准教授は「指針を順守したら10代で五輪で活躍する選手は生まれない。夢を奪うことになる」と述べた。
教育研究家の妹尾昌俊氏は「抜け道があれば指針の意味がなくなる。基準に著しく違反した場合は学校名を公表するなど、実効性を担保する仕組みを明記すべきだ」と主張した。
周りの反応
一般教員はこのニュースをどう捕らえているのか・・・私の周りの人はどちらかというとありがたいと思っている人が多い。
その理由は、単純に部活動の負担が大きすぎるから。
例えば顧問が複数いるのだからローテーションをすればいいと考える人は多いのかもしれないが、部活動をしていた方は思い出して欲しい。
指導に来る顧問ってほぼ固定だったんじゃないか?
ローテーションは理想だけど、中には毎日参加したい教員もいる。ではその人が毎日参加するとどうなるか。
生徒からすると、毎日来ない先生は真剣に見てくれない。という感想を抱くことになる。そうなると自然と毎日来る人しか信頼しなくなる。
まぁ、この場合は毎日参加したいだけで済めば、他の顧問からしたらありがたい状況になる。毎日見てもらえばいいんだから。
ではその毎日参加したい人が巻き込み型だとどうか。他の顧問は何も指導することがなくても毎日参加することになる。ただの球拾いか見学者になる。
これって無駄じゃないかな。
教師になる人って基本的に自己犠牲の精神が強い人が多い。実際サービス残業であっても毎日4時間近く残業して、しかも休日出勤をしていたりする。全部給料は出ていないのに。
そういう人たちにとって生徒から求められるというのはものすごい強制力であって、「断るのは悪い先生」くらいのイメージである。
部活動のデメリット
では部活動の何が問題か。
高校体育連盟
現在の未成年のスポーツ大会はほとんどが高体連によって運営されている。これも無給で休日に会議を開いたり、平日の定時すぎに大量の仕事を行うことになる。同じ教員として尊敬の念を抱かざるを得ないのであるが、その人たちの家庭はどうなっているか。
それでも多くの教師が運営をして多くのスポーツが普及している。もしも教師が部活動から手を引くと、少なくとも既存のインターハイや国体の運営に大きな支障をきたすことになる。
高体連というのは過去の教師たちの奉仕の精神によって成り立ってきた、犠牲の上に成り立つものである。
これだけ大規模な存在がボランティア精神に依存しきっていることそのものが問題なのではないか。
教員の家庭
当然理解ある家庭を持っている人も多いのだが、かなり多くの家庭が、家族が、辛い思いをしている。例え奥さんが理解者で、部活動に行くことに文句を言わなくても、子供は非常に寂しい思いをするのである。
私自身は現在幼稚園に通う娘がいるのだが、私が仕事で休日出勤をしていると娘が「早く帰ってきて」と言っているようで、親として心苦しくなる。
ここで重要になってくるのが、自分にとって本当に大切なのは仕事?家庭?という問題である。
これは私個人の考え方なのだが、自分の家族を幸せにできない大人に育てられるのってどうなんだろうか。子供たちが尊敬する大人には色々あるのだろうけど、人生を楽しんでいる姿を見せてくれる人っていうのもそのひとつなのではないか。
現在の少子化問題の根本というのは、大人が子供たちに対して、家庭を築く楽しさを見せることができていないからではないか。私が授業中の合間に、少し家庭の話をすると子供たちは嬉しそうに話に乗ってきてくれる。そして、授業の感想を書いてもらうと、子供の話が面白いとか、家族のことを話してくれるのがすき。ということを書いてくれる子もいる。
子供たちに接する大人のうち、非常に長い時間を過ごすのが教師なので、幸せな人生を歩む姿を見せてやる必要があると思う。それは独身の教師でも同じことで、具体的に何が楽しいとか言わなくて良いから、自分は生きていて楽しいよ、という姿を見せることが大切だと思う。
教員の疲労の問題
がっつり部活動をしている人、一ヶ月休みなしなんて当たり前。
手当てなんて一日3000円くらい。24000円あげるから一ヶ月休みなしで毎日残業2時間はしてね!と言われてどれくらいの人がやるんでしょうね。
私は現在そんなに大した部活動に関わっていないので助かっているけれど、それでも土日を迎えるときは「やっと一息つける・・・」というくらい疲弊している。
部活動解体の問題点
教師になろうと思うきっかけが部活動を見たいからという人は非常に多い。
私も動機のひとつはそれだったけれど、部活動が盛んではない高校で働き、その間に結婚して生活をすると、土日に部活動がないのが当たり前の生活リズムになる。娘も土日は妻と私と過ごせることに喜んでいるようで、幼稚園は楽しいけど、休みはママとお父さんと一緒だから嬉しいと言ってくれる。
この状態から部活動をする生活は受け入れがたい。
だからこそ部活動をしている先生のことは本当に尊敬している。ありがたい存在である。
ただ、中にはやはり部活動が自分の人生そのものと言っても良い人が多数存在している。そんな人たちにとっては、部活動を思いっきりできないとなると生き甲斐を失うことになるのかもしれない。
公立と私立に大きな差が出るのか、私立にも同じルールを徹底させるのか非常に興味深い部分ではある。
ニュースの内容を考える。
まず土日どちらか一日+平日一日について。正直これに強制力を持たせてくれると本当にありがたい。ハードな職場に転勤したとしてもそこは保障されるということだから。
ベテラン教師は「休みがないのなんてあたりまえ」と言うけれど、もうそんな時代じゃない。
なんなら土日は禁止くらいでも嬉しいけれど、自分が生徒だったときには土日も平日も毎日やりたかった。先生のありがたさを理解できていなかったことに恥ずかしさを覚えるくらい本当に部活動が好きだった。
じゃぁどうすればいいのか。
理想は外注すること。ネックは費用。そして、教師の副業として部活動は認めれば良い。
普通の教師は部活動をしない。これを前提として、+αとして許可を得た人だけが定時後(この辺柔軟にできればいいんだが)に部活動を見ることができる。
こうしてくれたら部活動を見ようと思う教師も増えるのかも。
結局のところどうするのがベストかはわからないけれど、現場の声としては悲鳴だらけ。早くなんとかしてほしいだけに、このニュースの流れは本当にありがたい。多くの教師が喜んだ内容だと思う。
ただ、当然部活動大好きな人もいるのは間違いないので、あくまで今書いた内容は個人の意見だと理解していただけたらありがたい。